晩白柚ルポルタージュ

熊本に住む30歳男性の日記です。2018年11月からカナダ・トロントでワーホリ予定。

トゥクトゥクは風を切る

2017年9月12日

空港出口の扉を開けると、バックパックを背負って行き場を探す旅人たちと、彼らに声を掛けんとする多くのトゥクトゥクやタクシーのドライバーたちがうろついています。

僕はトゥクトゥクに乗ってシェムリアップ市内まで向かうつもりでした。どこかで、トゥクトゥクを捕まえなければ‥。空港の敷地内をふらふらしていると、二人組の男が、

「やあ、お兄さん。何か探しているのかい」

「ええ。トゥクトゥクを探しているんですが」

「じゃあ、空港出口の隣にチケットカウンターがあるから、そこでトゥクトゥクのチケットを買いなよ」

なるほど、チケットを買う必要があるのか。早速彼らが言うチケットカウンターに行ってみると、そこには「Tuktuk $9」の文字。9ドル?以前調べたところでは、シェムリアップまでせいぜい5ドルだったはず。9ドルというのは少し高いんじゃないか‥。

「どうした?お兄さん。トゥクトゥクに乗るには、チケットを買うんだぜ。ほら」

後ろで男たちがまくし立ててきます。しかし、どうも納得できない。No,thank you.と彼らを振り切り、空港の敷地を出ることにしました。国道に出れば、流しのトゥクトゥクを捕まえられるはず。

 空港の門を出ると、国道の向こう側から早速トゥクトゥクが近寄ってきました。しかも、2台。片方の若いドライバーが、

「お兄さん、こっちに乗りなよ!5ドルで市内まで行こう!」

するともう片方のおじさんドライバーも、

「いやいや、こっちに来な!4ドルで連れてってやる」

応酬が始まります。4ドルというのは、既に相場より安い値段です。そちらに乗ってしまうのもいい。しかし、ここで更にカマをかけてやるのも面白いかもしれない。

「3ドルにならないんですか?3ドルの方に乗ります」

3ドルというのは破格の安さです。一方はぬぬぬ‥という顔をしながら躊躇していますが、遂におじさんドライバーが、

「OK,OK.3ドルで連れてってやろう。さあ、乗るんだ」

交渉成立です。こうして僕は、これから4日間に渡ってお世話になるトゥクトゥクドライバー・サマスさんとの出会いを果たしたのでありました。

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サマスさんの無骨で何の飾り気もないトゥクトゥクが風を切って走ります。カンボジアに着いてからあまりの暑さに早速額から汗を滴らせていた僕ですが、このトゥクトゥクというのは非常に爽快な乗り物で、涼しい風が顔に当たってすぐに汗が引いていきます。

「市内のどこに行きたいんだい?」

「タケオゲストハウス、という宿に行きたいのですが、ご存知ですか?」

「ああ、知ってるよ。有名だからね」

タケオゲストハウスというのは、シェムリアップ市内でもかなり老舗な日本人向けのゲストハウスです。事前に調べたインターネット上の記述では、「その存在は伝説」とまで書かれています。一方で、内装が古すぎて汚く、とても我慢できるものではない、という声もありました。しかし、伝説とまで言われているならば、その宿に泊まらないわけにはいかないでしょう。ドミトリーは1泊3ドル。3泊しても10ドルにも満たない安さです。

サマスさんには道路で待っていてもらい、タケオゲストハウスにチェックイン。ドミトリーに荷物を置きます。ずいぶん古い内装ですが、ベッドのシーツは新しいものに替えてあるようです。宿泊客は、まさかの僕一人。ブーン‥と扇風機の音だけが寂しく響き渡ります。この閑散とした雰囲気は何だ、伝説の宿ではなかったのか‥。少々懐疑的になりながら、僕は外で待つサマスさんの元へ戻りました。

 

この日、早速アンコール遺跡群を見て回ることにしました。「これから数日間、シェムリアップを観光して回るんだろう。俺が案内してやるよ」とサマスさん。成り行きで、この先のドライバーも彼に務めてもらうことになりました。

遺跡の中へ立ち入るには、入場券(アンコール・パス)が必要です。まずはそのパスを買うため、チケット・チェック・ポイントという料金所へ向かってもらいます。

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ここで3日券を62ドルで購入。料金所を出て、トゥクトゥクへ乗り込もうとしていると、「POLICE」の腕章をした制服のおっさんが近寄ってきて、

「コンニチハ。コレ、バッジ。キュードル」

自らの胸のバッジを指差し、カタコトの日本語で何か言っています。言いたいことがよくわからず、ぽかんとしていると、おっさんは胸のバッジと同じものをズボンのポケットからちらりと見せ、

「オミヤゲ。バッジ。9ドル」

このおっさんは、警察のバッジを9ドルで僕に売りつけようとしているのです。この国の警官は一体どうなっているんだ‥。思わず笑いがこみ上げてきました。果たしてこのおっさんが本物の警官かどうかもわかりませんが、いらないよ、と断ってトゥクトゥクに乗り込みました。

 

次回は、アンコール・ワットやアンコール・トムに向かいます。