カンボジアへの出発まで、もう少し時間があるので、記事を一つ書きたいと思います。
旅の間、携帯音楽プレーヤーで音楽を聞くことがあります。
後になってその曲を耳にすると、旅をしていた時の風景が蘇ってきますよね。今日、バックパックに荷物を詰めながら色々な曲を聞いていて、ふと昔の旅たちのことを思い出しました。
Linkin Parkの「Minutes To Midnight」に収録された「Valentine's Day」は、2015年2月14~15日(奇しくもバレンタイン・デイ)に長野県中仙道にある宿場町・妻籠宿を訪れた際、宿場から駅へ戻る道を歩いていた時に聞いた曲です。雪がしんしんと降る田舎道を、いよいよ旅が終わることを寂しく思いながら一人歩いた風景が思い出されます。ボーカリストのチェスター・ベニントンは、今年7月に自殺しました。「Valentine's Day」はどこか儚い曲調なのですが、今日この曲を聞いて、彼の命の儚さに少し涙が出てしまいました。
吉井和哉の「Hummingbird in Forest of Space」は、2008年9月に福岡から東京まで自転車の旅を行った際にヘビーローテーションしていたアルバムです。このアルバムの曲を聞くと、灼熱の田園地帯の中、こなくそで自転車を漕いでいた風景が思い出されるのですが、とりわけ「WINNER」という曲は、「走れこのままじゃ何も変わらない」「強い強い風をどうか」「高い高い山をどうか乗り越えられますように」といった歌詞が含まれていて、結構本気でこの曲がなければ僕はペダルを踏めなかった、と言えるほど心から励まされました。
同じく吉井和哉の「STARLIGHT」というアルバムは、2015年4月に京都を訪れた時に聞いていました。発売後2週間も経っていなかったので、ずっとリピートしていた記憶があります。あの時の京都の桜は本当に綺麗でした。谷崎潤一郎の「細雪」(と、川端康成の「古都」)に「まことに、ここの花をおいて、京洛の春を代表するものはないと言ってよい」という一節がありますが、このアルバムを聞くと、平安神宮の溢れんばかりの桜の花びら達が目に浮かぶのであります。
今回のカンボジアの旅の中で、どういった曲を聞くかは全く決めていません。後になって、「ああ、この曲を聞くと、カンボジアの風景を思い出すなあ‥」と呟く時、僕は何を聞いているのでしょうか?
出発時間が迫ってまいりました。また1週間後にお目にかかります。それでは、また。